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2025年12月14日日曜日

藁にもすがる思い:ティグレ戦争中に確認されたエチオピアへの武器移転(一覧)


著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo)

 この記事は、2022年1月に本ブログのオリジナル(本国版)である「Oryx-Blog(英語)」で公開された記事を翻訳したものです。意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇所があります(本国版の記事はリンク切れ)。

 エチオピアとアラブ首長国連邦、イランとの間に設けられた輸送網により、エチオピアは2021年現在進行中の紛争でティグレ防衛軍(TDF)を打ち負かすために必要な武器を全て備えることができています。

 2022年1月までに合計約140便の飛行があったにもかかわらず、窮地に立たされているエチオピア国防軍(ENDF)にどのような種類の武器や装備が届けられたかについては、ほとんど知られていません。[1]

 これは、ENDF全体に(兵士が装備の写真を撮ることを禁止するような)強力な作戦保全(OPSEC)の規則が徹底されていることが原因というわけではないようです。そもそも、ティグレ戦争勃発前のエチオピアは適切なOPSECの遵守が緩く、私たちのようなアナリストが歓迎していた事実があります。

 現在進行中のティグレ戦争の流れを変えるため、エチオピアは乏しいリソースの大半を世界各国からの無人攻撃機(UCAV)の入手に費やしています。これには、2021年8月に少なくとも2機の「モハジェル-6」を引き渡したイラン、2021年9月に3機の「翼竜I」を納入した中国、2021年11月にハラールメダ空軍基地に少なくとも6機の「翼竜I」を配備したアラブ首長国連邦が含まれます。[2] [3] [4]

 また、UAEが引き渡した複数のVTOL型UCAVもエチオピアで使用され続けています。[5]

 ただし、ENDFに引き渡された陸戦兵器については全く判明していません。この国が当初から保有している装甲戦闘車両(AFV)と牽引砲のストックは、戦闘の損失とティグレ軍に奪われた約100台の戦車と約70門の火砲を補うには十分だったようです。[6]

 これとは対照的に、Eティグレ軍がティグライ地方の基地を制圧した際に、ENDFは大口径多連装砲(MRL)と誘導ロケット弾や弾道ミサイルシステムのほとんどを失っています(編訳者注:「M20」弾道ミサイルシステムは戦後に少なくとも1門残存していることが確認されている)。[7] [8]

 したがって、エチオピアの失われた戦力を埋め合わせるために、大口径ロケット砲などの装備を提供することは十分ありえることだと思われます(編訳者注:2023年に中国から23門の「PCL-181」155mm自走榴弾砲を導入したが、ロケット砲類については未確認)。

  • この一覧は、ティグレ戦争中におけるエチオピアに引き渡された武器を網羅することが狙いです。
  • 各装備名の前に付されている国旗は、生産国よりも引き渡した国を示しています。
  • 各装備名をクリックすると当該兵器の画像を見ることができます。

無人攻撃機 (UCAV)

ミサイル・誘導爆弾 (UCAV用)

車両

[1] Iran Is Still Resupplying The Ethiopian Military https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/iran-is-still-resupplying-ethiopian.html
[2] Iranian Mohajer-6 Drones Spotted In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/08/iranian-mohajer-6-drones-spotted-in.html
[3] Wing Loong Is Over Ethiopia: Chinese UCAVs Join The Battle For Tigray https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/wing-loong-is-over-ethiopia-chinese.html
[4] The UAE Joins The Tigray War: Emirati Wing Loong I UCAVs Deploy To Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/the-uae-joins-tigray-war-emirati-wing.html
[5] UAE Combat Drones Break Cover In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/uae-combat-drones-break-cover-in.html
[6] The Tigray Defence Forces - Documenting Its Heavy Weaponry https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/the-tigray-defence-forces-documenting.html
[7] From Friend To Foe: Ethiopia’s Chinese AR2 MRLs https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/from-friend-to-foe-ethiopias-chinese.html
[8] Go Ballistic: Tigray’s Forgotten Missile War With Ethiopia and Eritrea https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/go-ballistic-tigrays-forgotten-missile.html


 2025年現在の情報にアップデートした改訂・分冊版が発売されました(英語のみ)

おすすめの記事

2025年3月23日日曜日

勢力圏の拡大:イラン製無人機の輸出先(一覧)


著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 
 イラン製UAVを運用する国の数が増加しつつあるため、この国が開発した無人機の成功は自身の勢力圏を拡大させる契機となっているようです。

 国外の運用者には、レバノンのヒズボラ、イエメンのフーシ派、イラクの人民動員隊(PMF)といった無数の非国家主体だけでなく、(導入当初の苦労を経て2021年後半に「モハジェル-6」UCAVの運用を開始した)エチオピア、ロシア、タジキスタン、スーダンといった国も含まれています。
 
 特にイランの無人機産業とU(C)AVの海外輸出を標的とした外国による制裁が課されているにもかかわらず、この国が持つU(C)AVの開発能力が急速に進化しているため、イラン製無人機を運用する国家が今後も増加すると思われると同時に、フーシ派のような非国家主体も同様に新しいイランの無人機を入手し続けていくでしょう。

  1. 以下に列挙した一覧の目的は、イランの無人機を引き渡された国家及び非国家主体を網羅することにあります。
  2. 一覧には、イラン以外の国家または非国家主体で運用されていることが確認されたU(C)AVのみが含まれています。また、シリアなどでイラン人によって運用されているものは含まれていません。
  3. 各U(C)AVの名称に続く角括弧に記載された年は、当該機体が最初に目撃された年です(通常は引き渡された年を指します)。
  4. この一覧については、イラン製無人機の新たな運用者が確認された場合に更新される予定です(2023年10月時点で暫定的に終了)。
  5. イランの U(C)AVの全貌については、こちらをご一読ください
  6. 各機体をクリックすると、輸出先で運用されている当該機体を見ることができます。
  7. 用語について...UAV=無人偵察機、UCAV=無人戦闘航空機、徘徊兵器(自爆突入型無人機の総称)

アフリカ

エチオピア

リビア国民軍(リビア)

スーダン


中央アジア

中東

ハマス (パレスチナ)

フーシ派 /アンサール・アッラー(イエメン)