ティグレ人民解放戦線(TPLF)が
着実に成長を遂げつつある一方で、政府軍はその動きをせき止めることができないことから、この国は今や自らの運命を変えるための何かを必死に探しています。そうすることで、彼らは最も盟友となる機会がありそうもなかった国からの支援を見つけ出しました。ごく最近、エチオピアはどうにかしてイランとの間で多数の
「モハジェル-6」無人戦闘航空機(UCAV)の引き渡しを受けるという契約を迅速に結んだようです。
この国はイスラエルと密接な関係を維持しており、イスラエルの兵器や訓練といったほかの軍事サービスを頻繁に輸入しているため、イランのUCAVが明らかにエチオピアへ納入されたことは非常に注目に値します。
実際、エチオピアが保有する無人機については、以前はほぼ完全にエアロノーティクス
「エアロスター」やブルーバード
「ワンダーBミニ」 無人航空システム(UAS)といったイスラエル製のシステムで占められていました。[1]
しかし、これらのUAVの現在の運用状況は不明であり、どれもが武装することができない機体であるという事実は、エチオピアがUCAVを入手するためにほかの供給源を探す原因となった可能性があります。
一般的な予想に反して、この供給源はトルコや中国ではなくイランだったようです。
見たところでは(「モハジェル-6」は)8月1日にエチオピア北東部の
セマラ飛行場に到着し、それから2日以内にアビー・アハメド首相が同空港を訪問した際にUAVの地上管制ステーション(GCS)が撮影されました。[2] [3]
衛星画像は少なくとも2機のUAVとそれに関連するGCSが引き渡されたことを明らかにしています。これらのシステムは大規模な調達をする前の評価用に導入した可能性があります。[4]
あるいは、今までに確認された数の少なさは、納入が短期間で行われたことと、すぐに入手可能な「モハジェル-6」UAVの数が比較的少なかった結果だったかもしれません。もちろん、すでに多くのUAVが引き渡されている可能性は残っていますが、その場合は単に「モハジェル-6」が複数の基地に分散配置されているということでしょう。
この問題となっているUAVの特定はいくらかの難題をもたらしました。
当初の報告では、UAEが隣国のエリトリアに配備したものと同じ中国の「ハリアーホークII・エアスナイパー(鹞鹰II)」や「翼龍II」である可能性が提起されていましたが、衛星画像に写った機体の寸法や独特の形状からその可能性は大幅に狭まり、決定的に除外されました。しかし、地上から撮影された画像がまだ入手できないという事実と、考え得る(無人機の)供給源のマーケットが幅広く多様になっていることが問題を複雑にしました。
衛星画像を通じてこのUAVが「モハジェル-6」が」その最有力候補であることが確認されましたが、機体より鮮明に撮影された専用のGCSがその特定に至る要因となりました。
外面的には、この車両の構造は各部のレイアウトとアンテナの両方が他のイラン製GCSと明らかに一致しています(もし正確に一致していない場合は、イランのGCSが繰り返し改良を受けているためと推測されます)。
GCSの機動性は、イランの定番である独特の塗装が施されたメルセデス・ベンツのトラックによって確保されており、それぞれ分離された管制室に至る2つのドアも(軍事ウォッチャーから見れば)おなじみの光景です。
外観では、全てのイラン製GCSに備えられている特徴的な白いアンテナがおそらく最も重要なポイントでしょう。通信用のパラボラ・アンテナは新型のようです。
内部を見ると、このGCSがイラン起源の車両であることがより明らかとなります。
管制室にある画面の一つには無人機のFLIR(前方監視型赤外線装置)からの映像が表示されており、情報の表示方法やレイアウトは
最新のイラン製UAVで知られているものとほぼ同じです。特に機体の向きを示す2つのインジケーター(矢印)は、紛れもなく一致しています。
おまけに、室内の各液晶画面はイランで撮影された「モハジェル-6」のGCSの映像に写り込んだものと同じボタンとダイヤルが備えられたコントロールパネルに組み込まれています(注:よく見ると画像の右側には液晶画面が縦2列・横3列に配置されており、後者は「モハジェル-6」のGCSと特徴が概ね一致しています。※
この映像の7秒あたりに注目)。
下の画像ではコンピューター画面が厚い筐体に組み込まれているため、「モハジェル-6」のGCSとは少し違うように見えるかもしれませんが、実際には他のイラン製GCSは全く同じ筐体を備えています(注:下の画像内の赤い画像が「モハジェル-6」のGCS内ですが、画面を組み込んだ筐体の形状がエチオピアに引き渡されてものと異なっていますが、先述の映像のとおり、同一の筐体を使用したGCSも存在しているようです)。
このコンピュータがWindows 7をOSにしているように見えるという驚くべき事実でさえ、イランに目を向けさせてくれる手がかりとなります。なぜならば、「モハジェル-4」のGCSのコンピューターが同様にWindows XPを使用していたことが知られているからです。[5]
イランの技術的特徴と明らかに類似していることから、これまで供給源として提起されてきたさまざまな国は除外されていますが、イランの無人機技術の一部は中国の無人機から発展されたため、エチオピアに引き渡されたのが中国製無人機である可能性が残されていることに注意する必要がありました。
(砂漠迷彩のメルセデス・トラックを含む) 多くの事実が別の答えを示していますが、おそらくこの選択肢が除外される最も決定的な理由は、知られている中国のGCSは実際には(各種設備が)エチオピアのGCSとは全く異なる配置となっており、問題となっているUAVの衛星画像の寸法と形状の両方に一致する中国の無人機が存在しないという事実です。
「モハジェル-6」UCAV自体は「モハジェル」系UAVの最新型です。
2017年に初公開されたこのUAVは、その1年後に量産を開始したと同時にイラン革命防衛隊の3つの部門で就役し、さらには数機がイラクの人民動員隊(PMF)に供与されました。[6]
製造者であるコッズ航空産業社は「モハジェル-6」の航続距離は200kmであり、兵装に関しては最大で40kgのペイロード:
「ガーエム-1」、
「ガーエム-5」、
「ガーエム-9」精密誘導爆弾(PGM)をそれぞれ2発から4発を搭載可能と主張しています。これらのPGMの軽量性が、このUAVの最大飛行高度約5,500mや12時間の滞空性能を実現させています。(注:軽いPGMの搭載は機体の性能に大きな悪影響を及ぼさないということ)。[7]