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2022年1月15日土曜日

ティグレ戦争:イラン製「モハジェル-6」UCAVがハラールメダ空軍基地に配備された(短編ニュース記事)

ハラールメダ空軍基地の「モハジェル-6」(PAX For Peace ・Wim Zwijnenburg からの引用)

著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 2021年12月上旬の衛星画像から、エチオピア空軍(ETAF)がエチオピアの首都アディスアベバ近郊にあるハラールメダ空軍基地に「モハジェル-6」無人戦闘航空機(UCAV)を配備していることが判明しました。[1]

 ETAFは8月上旬にイランから2機の「モハジェル-6」を調達し、続いてエチオピア北東部のセマラ空港に配備したことが知られていましたが、今回ハラールメダで目撃された「モハジェル-6」が8月に引き渡された2機のうちの1機なのか、それとも現在も続いているイランからの貨物便で(最近に)届けられた新納機なのかは不明です。[2][3]

 後者は、イランの影響力と周辺地域への武器輸出を制限しようと試みているアメリカを大いに怒らせることになるでしょう。ニューヨーク・タイムズの調査によると、すでにアディスアベバのアメリカ政府関係者はエチオピアのアビー・アハメド首相にイランからの支援と同国への貨物便について非公開で抗議し、打ち切るよう促しているとのことです。[4]

 「モハジェル-6」はエチオピア側の大きな期待を胸に受けて導入されたものの、2021年8月に引き渡されてからほぼ同時にこの国における運用キャリアを一度は終えてしまったようです。なぜならば、導入された2機は制御システムの問題で実際にエチオピア上空での飛行することが阻害されたため、すぐに駐機(放置)状態にされてしまったからです。[5]

 この失態は間違いなくETAFを大いに幻滅させたことでしょう。次に彼らのUCAVの導入が確認されたのは、中国から「翼竜Ⅰ」が届けられた2021年9月中旬のことでした。[6]

 「モハジェル-6」が抱える問題がやっと解決されたと思われるには2021年10月下旬までの時間がかかったようです。つまり、エチオピアに到着してから約2ヶ月半も後になってのことだったのです!

 2021年11月初旬にかけて、2機の「モハジェル-6」がセマラ空港の滑走路や駐機場で定期的に確認されており、この状況は、今やこれらがティグレの軍隊に対して定期的な飛行任務を実施するようになったことを示しています。 [7]

イランにおける「モハジェル-6」UCAV(エチオピアとは無関係の画像です)

ヘッダー画像は、PAX For Peace の Wim Zwijnenburg(敬称略)から引用したものです。  

[1] https://twitter.com/wammezz/status/1477399049342967810
[2] Iranian Mohajer-6 Drones Spotted In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/08/iranian-mohajer-6-drones-spotted-in.html
[3] Iran Is Still Resupplying The Ethiopian Military https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/iran-is-still-resupplying-ethiopian.html
[4] Foreign Drones Tip the Balance in Ethiopia’s Civil War https://www.nytimes.com/2021/12/20/world/africa/drones-ethiopia-war-turkey-emirates.html
[5] Unfit For Service: Ethiopia’s Troublesome Iranian Mohajer-6 UCAVs https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/unfit-for-service-ethiopias-troublesome.html
[6] Wing Loong Is Over Ethiopia: Chinese UCAVs Join The Battle For Tigray https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/wing-loong-is-over-ethiopia-chinese.html
[7] Ethiopia now confirmed to fly Chinese armed drones https://paxforpeace.nl/news/blogs/ethiopia-now-confirmed-to-fly-chinese-armed-drones

※  この翻訳元の記事は、2022年1月2日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事
  翻訳したものです。意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
    があります。



2021年12月22日水曜日

悲劇の懸念:衛星画像が示唆するティグレ防衛軍によるSAMの継続的な運用



著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 2021年10月19日に撮影された衛星画像は、ティグレ州の州都メケレ市の北東に位置するS-125(NATOコード:SA-3「ゴア」)地対空ミサイル(SAM)サイトが運用状態に戻ったことを示しています。[1]

  このSAMサイトの再稼働は、エチオピア空軍(ETAF)が新たに導入した「翼竜Ⅰ」無人戦闘航空機(UCAV)メケレ上空に展開させ、Su-27に地上攻撃目標を指示したものの、投下した爆弾が目標を外れて民間人の居住地域に着弾し、多くの民間人の死傷者をもたらした結果が原因である可能性があります。[2] [3]

 ある事例では、1機のSu-27による危険な飛行(高高度からの無誘導爆弾の投下)と投下した爆弾から立ち上る煙のために、メケレ空港に着陸することになっていた国連の飛行機がその中止を余儀なくされたことがありました。[4]

 この事例は非国家主体がの保有兵器にSAMが存在することの危険性も浮き彫りにしており、論理的には、彼らは自身の支配下にある領土に爆撃を行う敵機に対してSAMの使用を試みるでしょう。もしティグレ軍がSu-27を撃墜しようとした場合、同機に向けて発射されたミサイルが誤って近くを飛行していた国連機に命中していたかもしれません。

 メケレ上空を飛行する戦闘機やドローンを撃墜できるSAMをティグレ軍が今や再び運用するようになったことは、憂慮すべき動向です。 ティグレとその周辺の空域は依然として旅客機や(国連などの)民間機によって頻繁に使用されているため、誤認やミサイルが目標を外して民間機に当たるという脅威が常に存在しています。

 国連機着陸中止の事件を受けて、ティグレ防衛軍(TDF)のスポークスマンは「我々の防空部隊は国連機が着陸する予定だったことを知っており、部隊員の自制心のおかげで国連機が十字砲火を浴びることを避けられたのです。」と述べました。[5]

紛争地域における「誤射」と聞いて、2014年7月に発生したロシア軍がウクライナ東部の上空を飛行するマレーシア航空17便「MH17」を撃墜した事件を思い出す方もいるかもしれません。「ブーク」SAMのオペレーターはボーイング777型旅客機(乗客・乗員計298人)をウクライナ空軍のAn-26輸送機と誤認して攻撃・撃墜し、搭乗していた全員が亡くなるという悲惨な結果をもたらしました。

 MH17の大惨事は激しい紛争地帯の上空を飛行し続けることの危険性を浮き彫りにしましたが、このような事件を再び発生させないようにするための具体的な対策はほとんど講じられていません。

 さらに状況を悪化させているのは、ティグレ戦争は多くの人にとってドンバス戦争よりもはるかに世に知られていないままであり、それがすぐに本格的な予防措置が講じられる可能性を低くしているという事実です。

左:未装填の発射機(2021年9月17日)、右:各4発のミサイルが装填済みの2基の発射機(同年10月19日)

 9月にティグレ軍が公開した映像は同軍がいくらかのS-125用ミサイルコンテナを回収した様子が映し出されていました(下の画像)。このことは、彼らがもともと2020年11月に鹵獲した3つのS-125のSAMサイトについて、少なくともその1つを再稼働させようと試みていたことを最初に暗示した動きでした。

 同じ頃、36D6「ティン・シールド」対空レーダーがティグレの支配下にある村を通過する様子が撮影されました。このシステムはエチオピアで最も高性能なレーダーであり、S-125サイトとリンクして敵機の探知と照準を支援することが可能です。[5]

 これまでのところ、最低でも2基の36D6がティグレ防衛軍に鹵獲されたことが確認されています。 [6]

ティグレ軍によって回収されるS-125用ミサイルコンテナ。このコンテナに保管されていたミサイルがメケレ北部にあるSAMサイトの再稼働に使用されたかもしれません。

 2020年11月にティグレ軍がこの地域の制圧を開始した際、彼らは多数のレーダー基地に加えて、3つのS-125と1つのS-75(NATOコード:SA-2「ガイドライン」)のSAMサイトを即座に掌握しました。[6] 

 その後、彼らはティグレ側に離反した(運用が可能となる)十分な人員を工面して集め、S-75とS-125の双方を元の所有者:エチオピア政府軍(ENDF)に対して即座に使用することに成功したのです。[7] [8] 

 その後の数週間で、この地域を飛行中のエチオピア空軍機に対していくらかのミサイルが発射されました。しかし、双方から撃墜に関する報告がなされていないことから、ミサイルはどうやら全く命中しなかったようです。 [9]

 興味深いことに、エチオピア空軍(ETAF)は報復としてSAMサイトの破壊を少しも試みようとはしませんでした。このことは、おそらく空軍はTDFが将来的な使用に備えてSAMサイトを稼働状態に戻すどころか戻せる可能性が低いと考えていたことを示しています。

 ティグレ軍がSAMを使用した際、エチオピア軍は依然としてその脅威を無視してこの地域の上空に輸送機を飛ばしていました。輸送機の飛行は旧式のS-75やS-125にとっても格好の標的を提示したことを意味しましたが、純然たる幸運だけによって結果的に一機も撃墜されなかったと主張することができます。

 TDFは携帯式地対空ミサイル(MANPADS)の使用によってより多くの成功を収めたと考えられており、2020年11月の武力衝突の勃発以来、5機のETAF機・ヘリコプターをMANPADSで撃墜した可能性があります。[10]

ティグレ側の手に落ちたS-125用のSNR-125「ロー・ブロー」火器管制レーダー

 反政府勢力による地対空ミサイルの使用は、いつの日かエチオピアの戦闘機や、断じてあってはならないが民間の旅客機を撃墜する結果をもたらすことになるかもしれないという脅威を象徴しています。

 2014年のウクライナ上空で発生した事件や、2020年にイランで起きたもう1つの多くの人命が失われた大惨事:イラン・イスラム革命防衛隊(IRGC)の9K331「トール-M1」が旅客機を巡航ミサイルと誤認して撃墜、乗客乗員の176人全員が犠牲となった事件などは、まるで紛争時に生じる人命軽視につきもの出来事のように見えます。

 エチオピア空軍機が出撃するのと同時に、民間旅客機の定期便が依然として紛争地域であるティグレ州の上空を飛行しているため、このような大惨事が繰り返される全ての発生要因が存在しており、無意識のうちに別の悲劇を生む機会が残り続けています(注:11月にティグレ州の上空が飛行禁止区域に設定されました)。

 その結果として起こる大惨事は、終わりの見えないまま絶え間なく犠牲者をむさぼり続けているティグレ戦争自体よりも、国際的なメディアの注目を集めることは間違いないでしょう。



特別協力: The Fijian Armadillo(敬称略)

[1] https://twitter.com/FijianArmadillo/status/1460395498934870020
[2] Deadly Ineffective: Chinese-Made Wing Loong UAVs Designate Targets For Ethiopian Su-27 Bombers https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/deadly-ineffective-chinese-made-wing.html
[3] Su-27 Fighters Deployed As Bombers In Tigray War https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/su-27-fighters-deployed-as-bombers-in.html[4] https://twitter.com/MapEthiopia/status/1451520179758899209
[5] UN suspends all flights to Tigray amid Ethiopian air raids https://www.aljazeera.com/news/2021/10/22/ethiopia-hits-tigray-in-fourth-day-of-air-strikes
[5] https://youtu.be/XVYKYLmqN8w
[6] The Tigray Defence Forces - Documenting Its Heavy Weaponry https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/the-tigray-defence-forces-documenting.html
[7] https://twitter.com/MapEthiopia/status/1435607803427688453
[8] https://twitter.com/TheIntelLab/status/1326531558652702720
[9] https://twitter.com/TheIntelLab/status/1328242316339974144
[10] List Of Aircraft Losses Of The Tigray War (2020-2021) https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/list-of-aircraft-losses-of-tigray-war.html

※  当記事は、2021年11月21日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
 ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所
 があります。



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2021年12月21日火曜日

ティグレ戦争:ティグレ防衛軍が地対空ミサイルを披露した(短編記事)



著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 今年9月上旬に公開されたミュージックビデオには、ティグレ防衛軍(TDF)がエチオピア政府軍から鹵獲したS-75(NATOコード:SA-2「ガイドライン」)及びS-125(NATOコード:SA-3「ゴア」)地対空ミサイル(SAM)の輸送作業をしているカットが収められていました。

 これらは早くも2020年11月の時点には鹵獲されていましたが、その後のティグレ軍による使用についてはほとんど知られていません。鹵獲された時点でまだ稼働状態にあり、その運用要員の多くがティグレ側に離反したことで、エチオピア空軍(ETAF)に対するSAMの使用が可能となったのかおそれがあります。

 (今回の)SAMに関する最新の映像にはミサイル用の発射システムは含まれていませんでしたが、ティグレ軍が依然としてシステムのいくつかのコンポーネントを掌握していることが確認することができました。

 ティグレ軍がこの地域の制圧を開始した際、彼らは多数のレーダーステーションに加えて、1つのS-75サイトと3つのS-125サイトを即座に掌握しました。[1]

 おそらく、ティグレ軍は各サイトから十分な人員を工面して集め、S-75とS-125の双方を元の所有者:エチオピア政府軍に対してすぐに使用としたと思われます。[2] [3]

 しかし、いずれからの発射も撃墜に成功したとはみられておらず、TDFは携帯式地対空ミサイル(MANPADS)の使用によってより多くの成功を収めたと考えられています。2020年11月の武力衝突の勃発以来、おそらく3機ものエチオピア空軍の航空機やヘリコプターがMANPADSによって撃墜された可能性が指摘されています。

 興味深いことに、エチオピア空軍は敵SAMサイトの破壊を少しも試みようとはしませんでした。このことは、おそらく空軍はTDFが将来的な使用に備えてSAMサイトを稼働状態に戻せる可能性が低いと考えていたことを示しています。

 ティグレ軍がSAMを使用した際、エチオピア軍は依然としてその脅威を無視してこの地域の上空に輸送機を飛ばしていました。輸送機の飛行は旧式のS-75やS-125にとっても格好の標的を提示したことを意味しましたが、純然たる幸運だけによって結果的に一機も撃墜されなかったと主張することができます。




 2020年11月15日に撮影された衛星画像は、(ティグレ州の州都である)メケレの北に位置するS-125サイトがティグレ軍に鹵獲された後、ほぼ即座に使用されたことを示しています。[4]

 この地域を飛行中のエチオピア空軍機に対して、少なくとも4発のミサイルが発射されましたが、双方から撃墜に関する報告がなされていないことから、どうやら全く命中しなかったようです。

 エチオピア空軍機を撃墜しようとする試みは完全に成功していないようですが、ティグレ防衛軍による地対空ミサイルの使用は、いつの日か撃墜に成功するかもしれないという深刻な脅威を表しています。

 紛争が予測不可能な形で展開し続けているため、きっとティグレではさらなるサプライズが待ち受けているに違いありません。



[1] The Tigray Defence Forces - Documenting Its Heavy Weaponry https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/the-tigray-defence-forces-documenting.html
[2] https://twitter.com/MapEthiopia/status/1435607803427688453
[3] https://twitter.com/TheIntelLab/status/1326531558652702720
[4] https://twitter.com/TheIntelLab/status/1328242316339974144

※  当記事は、2021年9月14日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
 ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇所 
 があります。また、今の情勢が執筆時より大きく変化しているため、現状にそぐわない可
 能性もあります




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ティグレ戦争で失われた航空機一覧 (2020-2021) ※英語(日本語版は後日公開)
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2021年12月19日日曜日

破滅した抑止力: ティグレ最後の弾道ミサイル装備


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo


 ティグレによるエチオピア・エリトリアとのミサイル戦争は、非国家主体が短距離弾道ミサイル(SRBM)と長距離誘導ロケット弾を鹵獲し、それを用いてエチオピアと全く別の国:エリトリアの首都を攻撃したという珍しい出来事でした。[1]

 現代史の中でも注目すべき出来事であったにもかかわらず、このミサイル戦争は国際的なメディアから全く注目されていませんでした。

 この攻撃を受けてすぐに、エチオピアとエリトリアの軍隊は自走式発射機とミサイルを迅速に破壊・奪還したらしいので、ティグレによるミサイル攻撃の脅威度は低下しました。

 ティグレ防衛軍(TDF)は、2020年11月にティグレ州にあるエチオピア国防軍(ENDF)の基地を制圧した後にENDFの弾道ミサイル・誘導ロケット弾発射システムを鹵獲・掌握しました。このシステムに関する十分な数の運用要員がティグレ側に離反したことが、ティグレ側の軍隊が発射機を元の所有者:ENDFに対して使用し始める機会を与えたようです。

 そして実際、ティグレ軍はそれをすぐに文字通り実施し、エチオピアの2つの空軍基地に弾道ミサイルを発射し、さらに3発をエリトリアがティグレ戦争に介入した報復として同国の首都に撃ち込みました。[2]

 最近公開されたティグレのミュージック・ビデオは、TDFの弾道ミサイル・誘導ロケット砲部隊の一部がこの中国製の発射装置と関連装備を発見して無力化するという、エチオピアとエリトリアによる大規模な取り組みから回避できたことを示しています。[3]

 2021年10月21日に公開されたこの動画では、迷彩服を着たティグレの若者たちがラップを披露している背景として1台の再装填車が映し出されています。

 この動画が撮影された正確な日付を独自に検証することはできませんが、同じ動画には今年8月下旬に鹵獲されたT-72UA1戦車が登場していることから、少なくとも2020年12月にほかの発射システムと再装填車が捕獲・破壊された後に撮影された動画であることだけは間違いありません。[4]

 しかし、公開された動画からは「M20」SRBMや「A200」誘導ロケット弾が存在した形跡を見つけることができませんでした。専用の輸送起立発射機(TEL)がなければ、再装填車は実質的に何の役にも立ちません。

エチオピア軍が奪還した直後に撮影された「A200」誘導ロケット弾8発を搭載したTEL

 「A200」誘導ロケット弾を8発か「M20」弾道ミサイルを2発搭載するこのトラックの後部にはクレーンが備えられているため、発射システムに次の射撃任務を開始することを可能にする迅速な装填能力を有しています。この再装填車の存在は、(弾薬を補充するための場所に戻る必要が生じる前の段階における)攻撃準備ができた発射機と合計して、各部隊の火力を「A200」ロケット弾16発か「M20」弾道ミサイル4発と実質的に2倍にさせる効果があります。


 2020年12月には、エチオピア軍がティグレ州にあるミサイル基地の1つを奪回しており、ここではいくつかの「M20」SBRMと、少なくとも4個の「A200」のキャニスターが発見されました。[1]

 持ち出すのに十分な時間や適した装備が無かったことから、ティグレ軍がこの地域から追い出された際に置き去りにされたものと思われます。また、この基地が奪回された時点までに全弾が発射し尽くされていなかったという事実は、その地域における全てのTELがすでに失われていたという可能性も示しています。


 「M20」SRBMと「A200」誘導ロケット弾発射システム用の再装填車も、少なくとも1台がこの基地でエチオピア軍に奪還されました(下の画像)。


 また、別の再装填車もティグレ軍が慌てて放棄したのとほぼ同時に奪還されました(下の画像)。

 面白いことに、「A200」ロケット弾キャニスターのうち少なくとも3つは空であり、どうやら発射機から撃ち出された後に再装填車に積み戻されたように見えます。これは、決して(キャニスターの投棄による)環境破壊からこの地域を守ろうとしたのではなく、ティグレ軍によってこのシステムが使用された痕跡を隠そうと試みたのかもしれません。


 ティグレのヒップホップの舞台として使われている「M20」/「A200」用再装填車は、かつてエチオピア軍が誇った強大な弾道ミサイル・誘導ロケット砲部隊構成した装備で最後に残されたものかもしれません。

 今や本来の用途で役に立たなくなってしまったこの車両は、こういったより穏やかな役割での新たな使い道を見いだされたようです。

 TDFの抑止力は失われたかもしれませんが、最終的に彼らを打倒することを目的とした最近のENDFの攻勢に対するTDFの強い抵抗は、彼らが過小評価されるべき存在ではないことを示しています。そして、ティグレ戦争が予測不可能な形で展開し続けていく中で、彼らがさらなるサプライズを用意していることは間違いないでしょう。

特別協力: Saba Tsen'at Mah'derom.

[1] Go Ballistic: Tigray’s Forgotten Missile War With Ethiopia and Eritrea https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/go-ballistic-tigrays-forgotten-missile.html
[2] Ethiopia’s Tigray leader confirms firing missiles at Eritrea https://apnews.com/article/international-news-eritrea-ethiopia-asmara-kenya-33b9aea59b4c984562eaa86d8547c6dd
[3] Yaru Makaveli x Narry x Yada sads x Ruta x Frew x danay x donat - CYPHER WEYN 2 / Tigray Music https://youtu.be/0LPa4xIuBXo
[4] The Tigray Defence Forces - Documenting Its Heavy Weaponry https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/the-tigray-defence-forces-documenting.html

  事です。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しが異なっている箇
    所が存在する可能性があります。



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2021年12月18日土曜日

運用に不向き?:エチオピアの面倒なイラン製「モハジェル-6」UCAV

イランにおける「モハジェル-6」UCAV(エチオピアとは無関係の画像です)

著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo
 
 エチオピアの首都アディスアベバに対するティグレ防衛軍の野心的な反攻は、ついに停止したようです。ただし、この状況は少なくともエチオピア政府側に中国製UCAVが大々的に配備されたことによって実現に至らせたわけではありません。

 これまでにエチオピアによって導入が確認されているUCAVとして、中国の「翼竜Ⅰ」、UAEが供与したVTOL型ドローン、そしてイランの「モハジェル-6」があります。[1] [2] [3]

 エチオピアは長年にわたって軽視されてきた空対地戦力を補うために新しく導入したUCAVに大きく依存しており、この流れは2021年の夏になって空軍に性急なUCAVの調達に乗り出すことを余儀なくさせました。

 当ブログは2021年8月初旬にエチオピアがイラン製「モハジェル-6」UCAVを入手したことについて世界で最初に報じました。 [3]

 「モハジェル-6」はエチオピア側が期待を胸にして導入されたものの、この国における運用キャリアは引き渡されてからほぼすぐに終えました。なぜならば、導入された2機は制御システムの問題で実際にエチオピア上空での飛行することが阻害されたため、すぐに駐機(放置)状態にされてしまったからです。

 この失態は間違いなくエチオピア空軍を大いに幻滅させたことでしょう。彼らのUCAVの導入が次に確認されたのは、2021年9月中旬のことでした。[1] [4]

 エチオピアが新たに導入した中国製UCAV用の武装をかろうじて手に入れるまでには、さらに1ヶ月半を要してしまいました。結局、彼らが真の武装ドローンの配備が実現したのは、それを最初に試みてから約3ヶ月後のことだったのです。[5]

 UCAV用のいかなる兵装もまだ存在しなかったことは、空軍に「翼竜Ⅰ」を用いて(代わりに爆撃する)Su-27の目標を指示させることに至りました。Su-27はさまざまな種類の無誘導爆弾しか搭載できないため、これらによる著しく精度の低い空爆で多くの民間人の犠牲がもたらされてしまいました。[6]

 注目すべき事例としては、ティグレ州の州都メケルの上空でSu-27が投下した爆弾が狙った目標を1キロメートルも外れ、何もない野原に着弾したということがありました。残念なことに、別の空爆で投下された爆弾が本来の目標を外れて民間人の居住地域に着弾するという悲劇も発生しました。[6]

 「モハジェル-6」が抱える問題がやっと解決されたと思われるには2021年10月下旬までの時間がかかったようですが、それはエチオピアに到着してから約2ヶ月半も後のことでした!

 2021年9月から11月初旬にかけて、1機または2機の「モハジェル-6」がセマラ空港の滑走路や駐機場で定期的に衛星画像で確認されており、駐機場におけるイラン製ドローンの頻繁な再配置は、今やこの機体が定期的に飛行している可能性も示しています。[7]

 ほぼ同じ頃、ティグレ軍は傭兵や技術者としてエチオピア政府を支援している外国人を追討すると脅迫しましたが、これは間違いなくエチオピアで「モハジェル-6」を運用しているイラン人オペレーターのことを言及していると思われます。[8]

2021年8月初旬、セマラ空港で新たに導入された「モハジェル-6」と地上管制ステーション(GCS)を視察するエチオピアのアビー・アハメド首相(右)

 「モハジェル-6」は最大で40kgの兵装を搭載することが可能で、これにはそれぞれ2~4発の「ガーエム-1」,「ガーエム-5」,「ガーエム-9」精密誘導爆弾(PGM)が含まれます。

 これらのPGMの軽量性がこのUAVの最大飛行高度約5,500mや12時間の滞空性能を実現させており、このUCAVの製造者:コッズ航空産業社(イラン革命防衛隊傘下の企業)は運用範囲が200キロメートルに及ぶと主張しています(注:軽いPGMの搭載は機体の性能に大きな悪影響を及ぼさないということ)。[9]

 標的探知・獲得や偵察任務用として、「モハジェル-6」には「EOAS-I-18A」FLIR装置が装備されています。[10]

「ガーエム-5」。「モハジェル-6」には最大で4発が搭載可能。

 しかし、運用可能な高度が低いために地上からの対空砲火に脆弱であり、FLIRの品質が低いことや、「モハジェル-6」自体の戦闘における実績が皆無に近いという事実から、実戦では乏しい効果をもたらす可能性があります。

 おまけに、これまでに把握されている生産数が少ないため、2年目に突入したこの戦争で「モハジェル-6」が実際に効果を発揮できるかどうかは現時点では不明です。

イランにおける「モハジェル-6」UCAV(エチオピアとは無関係の画像です)

特別協力: Wim Zwijnenburg

[1] Wing Loong Is Over Ethiopia: Chinese UCAVs Join The Battle For Tigray https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/wing-loong-is-over-ethiopia-chinese.html
[2] UAE Combat Drones Break Cover In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/uae-combat-drones-break-cover-in.html
[3] Iranian Mohajer-6 Drones Spotted In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/08/iranian-mohajer-6-drones-spotted-in.html
[4] Tigray War: Chinese-Made Armed Drones Spotted Over Mekelle https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/tigray-war-chinese-made-armed-drones.html
[5] Ethiopia Acquires Chinese TL-2 Missiles For Its Wing Loong I UCAVs https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/ethiopia-acquires-chinese-tl-2-missiles.html
[6] Deadly Ineffective: Chinese-Made Wing Loong UAVs Designate Targets For Ethiopian Su-27 Bombers https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/deadly-ineffective-chinese-made-wing.html
[7] Ethiopia now confirmed to fly Chinese armed drones https://paxforpeace.nl/news/blogs/ethiopia-now-confirmed-to-fly-chinese-armed-drones
[8] Tigrayan forces say they will 'hunt down' foreign mercenaries https://www.reuters.com/world/africa/tigrayan-forces-say-will-hunt-down-foreign-nationals-aiding-ethiopia-war-2021-11-12/
[9] https://twitter.com/brokly990/status/1256994704568258562
[10] https://twitter.com/L4RB1/status/1192650551814742016

※  この翻訳元の記事は、2021年11月18日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事
  を翻訳したものです。意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した箇    
  所があります。


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「モハジェル-6」から「翼竜Ⅰ」まで:拡大するエチオピアの無人機戦力(一覧)

この「翼竜Ⅰ」の画像はイメージであり、エチオピアとは無関係です

著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

 進行中のティグレ戦争の流れを変えるため、エチオピアは世界中の国々からのU(C)AV:無人(戦闘)航空機の入手に重点を置いた投資を行っています。

 長年にわたって世界中の現代の軍事的な発展を無視してきたおかげで、エチオピア空軍は(1機のSu-25TKを除いて)精密誘導爆弾(PGM)の運用能力がある航空機が1機もない状態で紛争に巻き込まれ、結果としてティグレ防衛軍が戦場を自由に歩き回り、政府軍からの鹵獲に成功した大量の重火器の運用を許すことになってしまいました。[1]

 エチオピア国防軍(ENDF)にとって不幸だったのは、ティグレ軍が鹵獲した重火器には誘導式の多連装ロケット砲と弾道ミサイルでさえ含まれており、それらが後でエチオピアの2つの空軍基地のみならずエリトリアの首都を攻撃するのにも使用されたことです。[2] [3]

 ENDFはUCAV導入の突貫計画に着手したと予想されていましたが、2021年8月になってようやく(真の)UCAVを入手した最初の証拠が明るみに出ました。興味深いことに、エチオピアは以前に運用が報じられていた中国製の「翼竜」を調達するのではなく、その代わりにイランから2機の「モハジェル-6」を入手しました。[4]

 現在ではさなざまな種類のUCAVプラットフォームが入手可能であることを踏まえると、「モハジェル-6」(しかも2機だけ)の選択する決定がなされたことは、好奇心をそそります。運用可能な高度が低いために地上からの対空砲火に脆弱であり、FLIR(前方監視型赤外線装置)の品質が低いことや「モハジェル-6」自体の戦闘における実績が皆無に近いという事実から、実戦では乏しい効果しかもたらさない可能性があります。

 エチオピアにおける「モハジェル-6」の働きは今のところ全く成功していないようであり、両機は運用パフォーマンスが乏しいせいか、現在は駐機状態にあります。 [6]
 
 したがって、エチオピアはより効果的なUCAVを探し続けることを余儀なくされており、最終的には中国から「翼竜Ⅰ」を導入し、さらに伝えられるところによれば、トルコからも(現時点では形式不明の)UCAVを入手したとの情報があります。[5](注:11月8日にハラールメダ空軍基地の近くで「バイラクタルTB2」らしきUCAVが飛行しているのが目撃されたという情報が出回っています)[8]

 その数ヶ月前、エチオピアはすでに2発の120mm迫撃砲弾で武装した大型のVTOL型のUCAVを入手し、ティグレ州のマイチュー地区に配備していました。しかし、これらのマルチコプター式UCAVは、「翼竜Ⅰ」のような真のUCAVの能力を少しも備えていません。[7]

 ティグレ戦争でUCAVが極めて重要な役割を果たす可能性があり、それらの入手で示されたエチオピアの取り組みを考慮すると、これらや別のUCAVの導入で終わりとならないかもしれません。


注意
  1. このリストは実際にエチオピアで運用・保有が確認されたUAVだけを掲載しています
  2. UAVの名前をクリックすると、エチオピアでの当該機種の画像を見ることができます


無人偵察機


訓練用無人航空機


農業用無人航空機

[1] The Tigray Defence Forces - Documenting Its Heavy Weaponry https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/the-tigray-defence-forces-documenting.html
[2] From Friend To Foe: Ethiopia’s Chinese AR2 MRLs https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/from-friend-to-foe-ethiopias-chinese.html
[3] Go Ballistic: Tigray’s Forgotten Missile War With Ethiopia and Eritrea https://www.oryxspioenkop.com/2021/09/go-ballistic-tigrays-forgotten-missile.html
[4] Iranian Mohajer-6 Drones Spotted In Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/08/iranian-mohajer-6-drones-spotted-in.html
[5] Wing Loong Is Over Ethiopia: Chinese UCAVs Join The Battle For Tigray https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/wing-loong-is-over-ethiopia-chinese.html
[6] 著者がエチオピアのデジェン航空工学産業 (DAVI)で働く整備員から得た情報
[7] https://twitter.com/wammezz/status/1445034651085639688
[8] https://twitter.com/Gerjon_/status/1458174559748767749?s=20

※  当記事は、2021年10月21日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
  ものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと言い回しを変更した箇所があり
  ます。




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無人機戦力増強の前兆:エチオピアで新たなドローン関連施設整備の動きがキャッチされた


著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo


 以前、私たちはエチオピアに最低でも6機のUAEの「翼竜Ⅰ」無人戦闘航空機(UCAV)が配備されたことをお伝えしました。しかし、ごく最近になってハラールメダ空軍基地にUCAV運用のための追加インフラの整備作業が進行中であることが衛星画像によって判明しました。[1] [2]

 2021年9月に中国から導入したエチオピア空軍(ETAF)の3機の「翼竜Ⅰ」UCAVが使用しているハンガーの隣で、新しいエプロンとハンガーが建てられているようです(編訳者注:11月14日から19日の間にエプロンの拡張が開始され、11月29日から12月4日の間にエプロン北側に「大きな黒い影」が登場しました。)[3]

 これらの「翼竜Ⅰ」の1機はすでに11月中旬に撮影された衛星画像でその存在がキャッチされています[4]

 作業が進められている場所については、以前はエチオピア空軍(ETAF)が設けた退役機の墓場であり、約30機の「MiG-21」戦闘機、8機の「Mi-24」攻撃ヘリコプター、5機の「An-12」輸送機、そして1機ずつの「Yak-40」旅客機と「Tu-154」旅客機が放置されていました。

 これらのうち、大型機以外はまもなく建設されるであろう施設の邪魔とならないよう、基地内の別の場所に移動されました。「MiG-21」と「Mi-24」の移動作業は2021年10月には開始され、施設はその後12月初旬から整備作業が開始されたようです。

 この施設が完成した後、このエリアはハラールメダ基地における全U(C)AVの運用拠点になると予想されます。

 現在、ETAFはこの基地から数機のイスラエル製の「エアロスターUAS」と中国製の「翼竜Ⅰ」UCAVを運用しており、イラン製「モハジェル-6」UCAVについては依然としてエチオピア北東部にあるセマラ空港を拠点にしていると考えられています。[5]

 ETAFがメケレ市上空で「Su-27」戦闘機の爆撃目標を指示するためにすでに「翼竜Ⅰ」を実戦投入したことで実証されているとおり、同UCAVはハラールメダ基地からティグレ州全域での任務を遂行するのに十分な航続距離を持っています。[6]

 現在のU(C)AV関連インフラの拡張作業の動きは、ティグレ防衛軍(TDF)が過去1カ月間に獲得した領土の多くを喪失した時期と重なります(注:現在はENDFの攻勢でTDFは退却に追い込まれつつあります)。[7]

 エチオピア北部のティグレ軍に対するエチオピア国防軍(ENDF)の攻撃が見事に期待外れに終わると、TDFは反攻を開始し、その猛威は一時的に首都アディスアベバの安全を脅かすまでに至りました。[8]

 しかし、少なくとも11機以上のUCAVがもたらす絶え間なく続く損耗は、最前線にいるTDF部隊に心理的・物資的に重大な影響を与えたようです。

2021年2月中旬: このエリアはまだ「MiG-21」「Mi-24」や輸送機などで占められています。

2021年11月中旬:「MiG-21」 と「Mi-24」は新たなハンガーとエプロン用のスペースを確保するために移動させられました。

2021年12月9日: かつての「飛行機の墓場」前に最初のエプロンが設けられました。

 幅広い種類のUCAVの導入が、結果として窮地に立たされたアビー・アハメド政権を救う最も決定的な要因となるかもしれません。

 以前のTDFは退却して別の戦線で反撃の機会を試みることもできましたが、ETAFが投入できるUCAVの数が増えていることは、近いうちにティグレの部隊が標的にされずに逃げ隠れできる場所がどこにもなくなってしまうことを意味する可能性があります。

 リビア内戦と2020年のナゴルノ・カラバフ戦争に続いて、おそらくティグレ戦争もUCAVの使用が決定的な勝因をもたらした、急速に増加しつつある紛争のリストに加わることになるでしょう。

「翼竜Ⅰ」(これはイメージ画像であり、エチオピアとは無関係です)

特別協力: Gerjon (敬称略)

[1] The UAE Joins The Tigray War: Emirati Wing Loong I UCAVs Deploy To Ethiopia https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/the-uae-joins-tigray-war-emirati-wing.html
[2] https://twitter.com/Gerjon_/status/1467183943237648392
[3] Wing Loong Is Over Ethiopia: Chinese UCAVs Join The Battle For Tigray https://www.oryxspioenkop.com/2021/10/wing-loong-is-over-ethiopia-chinese.html
[4] Satellite Images Show Ethiopia’s Expanding Drone Buildup https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/satellite-images-show-ethiopias.html
[5] Ethiopia now confirmed to fly Chinese armed drones https://paxforpeace.nl/news/blogs/ethiopia-now-confirmed-to-fly-chinese-armed-drones
[6] Deadly Ineffective: Chinese-Made Wing Loong UAVs Designate Targets For Ethiopian Su-27 Bombers https://www.oryxspioenkop.com/2021/11/deadly-ineffective-chinese-made-wing.html
[7] https://twitter.com/MapEthiopia/status/1466841807569014787
[8] Ethiopia's Tigray crisis: Citizens urged to defend Addis Ababa against rebels https://www.bbc.com/news/world-africa-59134431

※  当記事は、2021年12月13日に本家Oryxブログ(英語版)に投稿された記事を翻訳した
 ものです。




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