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2023年12月23日土曜日

中央アジアの戦力:キルギスの軍用車両・重火器(一覧)


著:シュタイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo


 かつてキルギスにはソ連軍中央アジア軍管区の第17軍団の拠点があったものの、ソ連崩壊後に(近代的な)装備をほとんど受け継ぐことには至りませんでした。実際、ソ連から引き継いだ軍事装備に関して言うならば、キルギスが全ての旧ソ連諸国の中で最悪だったと言っても過言ではないでしょう。

 1991年以降、軍への投資はほとんど行われなかったこともあり、保有兵器の状況は1970年代後半のソ連軍と似たような構成となっています。

 2021年に国境警備隊向けに3機の「バイラクタルTB2」無人戦闘航空機(UCAV)を導入したことはキルギスにとって史上最大の軍事面への投資であり、これらは2022年9月のタジキスタンとの国境を巡る小規模な武力衝突で多大な威力を発揮しました。[1]

 1990年代以降における新しい装備の導入について、キルギス軍はその大部分をロシアの善意に依存してきました。近年の2018年と2019年には、キルギスは「Mi-8」ヘリコプター4機と「P-18」対空レーダー2基を無償で提供されたほか、過去10年間に「L-39」ジェット練習機4機、「An-26」輸送機2機、「BTR-70M」装甲兵員輸送車及び「BRDM-2M」偵察車数十台も供与されています。 [2] [3] 

 さらに2020年には、キルギスへの「9K37 "ブーク"」地対空ミサイル(SAM)システムの譲渡がロシアと協議されていることが公表されました。[4] 

 その他の武器や装備の供給源には、2010年代後半からさまざまな小火器や装甲車両、「スマートハンター」移動式対空レーダー兼射撃統制システム、「TH-G701」(短距離防空用)野戦通信指揮システムを提供した中国が含まれているほか、アメリカもフォード「レンジャー」 ピックアップ・トラック45台、「ポラリス」全地形対応車(ATV)44台、ナビスター「7000」トラックを寄贈しています。[5]


  • 以下に列挙した一覧では、キルギスが保有しているAFVなどを掲載しています。
  • この一覧は、現時点でキルギス軍及び国境警備隊で運用されているあらゆるAFVなどをすることを試みて作成されたものです。
  • この一覧に掲載されているものは、画像などの視覚的なエビデンスに基づいて確認されたものだけに限定されています。
  • レーダー、対戦車ミサイル、携帯式地対空ミサイルシステム、トラック及びジープ類はこの一覧には含まれていません。
  • タジキスタンが保有しているものについては、ここで見ることができます。
  • 各兵器類の名称をクリックすると、キルギスで運用されている当該兵器類などの画像を見ることができます。



  • 戦車

    装甲兵員輸送車


    自走砲

    固定式地対空ミサイル(SAM)システム
    • S-75 (首都ビシュケク防空用に1つの陣地が存在)
    • S-125 (首都ビシュケク防空用に2つの陣地が存在)

    自走式地対空ミサイルシステム

    無人偵察機 (UAV)
    • オルラン-10E (未公開)
    • WJ-100

    無人戦闘航空機 (UCAV)

    この記事の作成にあたり、 Buschlaid と ファルーク・バヒー の両氏に感謝を申し上げます。

    [1] Documenting Losses During The September 2022 Kyrgyzstan–Tajikistan Border Clash https://www.oryxspioenkop.com/2022/10/documenting-losses-during-september.html
    [2] Russia donates two helicopters to Armed Forces of Kyrgyzstan https://24.kg/english/136240_Russia_donates_two_helicopters_to_Armed_Forces_of_Kyrgyzstan/
    [3] Sergei Shoigu: Kyrgyzstan can always count on support of Russia https://24.kg/english/116337_Sergei_Shoigu_Kyrgyzstan_can_always_count_on_support_of_Russia/
    [4] Russia and Kyrgyzstan discuss delivery of air defense systems, helicopters https://24.kg/english/153139_Russia_and_Kyrgyzstan_discuss_delivery_of_air_defense_systems_helicopters/
    [5] A Vehicles Handover Ceremony with U.S. Ambassador T.Gfoeller to Kyrgyzstan http://bishkek.usembassy.gov/2010_0825_vehicle_handover.html

    ※  当記事は、2022年10月10日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳したも
      のです。

    2022年11月18日金曜日

    2022年9月のキルギス・タジキスタン国境紛争で両軍が喪失した装備(一覧)


    著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

     古くからあるキルギスとタジキスタン間の水紛争を原因とする一連の国境における小競り合いが、2021年4月に続いて2022年9月14日にも勃発しました。

     今回はタジキスタン軍は戦車と大砲を用いてキルギスのとある村に侵攻し、バトケンの町を砲撃したのです。

     砲兵戦力に関してはタジキスタンが優勢ですが、キルギスはタジキスタンの戦車や多連装ロケット砲(MRL)に反撃するために新たに導入した「バイラクタルTB2」無人戦闘航空機(UCAV)を投入しました。この地域にTB2を撃墜可能な地対空ミサイル(SAM)を展開しさせていなかったため、タジキスタン軍の機械化部隊は上空の見えない敵に対して非常に脆弱であることが証明されました。

     国境での武力衝突は2日間続き、その後の2022年9月16日夜には双方が停戦に合意することができたものの、平和は僅か1日しか続きませんでした。ただし、双方が状況をこれ以上エスカレートさせることを望んでいなかったことから、結果として今回の衝突はより永続的な和平協定が調印される9月20日まで続いたようです。

     キルギスとタジキスタンの両国は共に国境問題を平和的手段によって解決するための努力を継続することを表明し、信頼の証として国境から追加の軍用装備と部隊を撤退させることに同意し、今回の武力衝突は終結に至りました。

    1. 下に記されている兵器類の名称に続く数字をクリックすると、破壊や鹵獲された当該兵器類の画像を見ることができます。
    2. この一覧は、写真や映像によって証明可能な撃破または鹵獲された兵器類だけを掲載しています。したがって、実際に喪失した兵器類は、ここに記録されている数よりも多いことは間違いないでしょう。 

    キルギス (損失数:4, このうち撃破:2, 損傷:1, 鹵獲:1)

    歩兵機動車 (1, このうち鹵獲:1)

    トラック・車両類 (3, このうち撃破:2, 損傷:1)


    タジキスタン (損失数:4, このうち撃破:4)

    戦車 (2,このうち撃破:2)

    多連装ロケット砲(1, このうち撃破:1)

    トラック・車両類 (1, このうち撃破:1)

    ※ この記事は2022年10月3日に本国版「Oryx」(英語)に投稿された記事を翻訳した 
     ものです。

    2022年9月17日土曜日

    新たなる力:「バイラクタルTB2」UCAVがキルギスに納入された


    著:ステイン・ミッツアー と ヨースト・オリーマンズ(編訳:Tarao Goo

     2021年10月下旬、キルギスがトルコの「バイカル・テクノロジー」社から「バイラクタルTB2」無人戦闘航空機(UCAV)を3機発注したことが発表されました。[1] 

     キルギスにはUCAVを保有する必要性がないと考えられていただけではなく、そもそも同国が有する空軍自体が無きに等しい存在であったことから、この発注に関するニュースは世に驚きをもたらしたのです。

     実際、キルギス空軍が固定翼機を運用し始めたのは2018年からであり、しかもその「An-26」輸送機2機はロシアから寄贈されたものだったということを考慮すると、その驚きは当然と言えるでしょう。[2]

     そして発表から間もない2021年12月18日に、待望のTB2がキルギスの国境警備隊で運用が開始されました。ちなみに、同機は国境警備隊で就役したことで知られる最初の航空アセットです。 [3] 

     2022年10月には、キルギスが数機の「バイラクタル・アクンジュ」を導入することに関心を持っていることを明らかにしました。 [4]

     2022年9月、キルギスはタジキスタン間の古くから続く水紛争を原因とする一連の国境での小競り合いで、新たに入手したTB2を実戦に投入しました。今回のタジキスタン軍は戦車と大砲を用いてキルギスのとある村に侵攻しバトケンの町を砲撃しましたが、TB2を撃墜可能な地対空ミサイル(SAM)をこの地域に展開していなかったため、この上空を飛ぶ見えない天敵のおかげでタジキスタンは少なくとも「T-72戦車」2台、「グラート」多連装ロケット砲(MRL)1台、弾薬輸送トラック1台を失ってしまいました。[5]

    2022年9月の国境紛争でキルギスのTB2によって撃破されたタジキスタンの「9P138 "グラート-1"」MRL

     キルギス空軍は、かつて同国に駐留していたソ連空軍のアセットを引き継いで1992年7月に創設されました。キルギスは、主に「L-39」練習機と「MiG-21」戦闘機の外国人パイロットを養成するフルンゼ軍事大学の拠点だったことで知られています。[6]

     1992年の時点で、同国のカント空軍基地には大量の「MiG-21」が多数の「An-2」「An-12」、   「An-26」輸送機や「Mi-8」「Mi-24」ヘリコプターと共に残されていました。建国されたばかりのキルギス共和国には、このような大規模な飛行隊を運用するための資金、パイロット、そして何よりも必要性自体がなかったため、「An-2」輸送機と「Mi-8/24」ヘリコプター以外の運用についてはすぐに放棄されてしまいました。

     その後、 キルギス空軍は数十年にわたって、首都ビシュケク郊外にあるプリゴロドニ・ヘリポートを拠点にした数機の「Mi-8」と「Mi-24」、そして首都近郊に配備された1個の「S-75」と2個の「S-125」SAMサイトを運用し続けることになりました。

     カント空軍基地は約50機の「MiG-21」といくらかの輸送機の保管拠点として使用され続けていましたが、2015年までにその大部分がスクラップ処分されています。       

     2014年6月まで、マナス国際空港(IAP)はアフガニスタンにおける戦争を支援するためにアメリカによって使用されていました。その一方で、ロシアはマナスから僅か35km離れたカントに少なくとも2027年のリース期限まで使用できるようにした独自の空軍基地を設けています。[7]

     「Su-25」対地攻撃機と「Mi-8」を装備したロシア空軍の部隊がカントに到着したことに伴ってキルギスに4機の「L-39」が寄贈されました。それにもかかわらず、キルギス空軍はこの練習機を実際に運用しようとしなかったようです。おそらく、すでに運用されている武装した「Mi-8」や「Mi-24」と比較しても、空軍に目新しい戦力をもたらすことがほとんどなかったためと思われます。

     したがって、キルギスが「バイラクタルTB2」を調達したことは、 キルギス軍が望ましい性能を実際に入手可能な価格で提供してくれるアセットをTB2という形でついに見つけ出したと思われるため、いっそう注目されます。

    2018年にロシアから供与された2機の「An-26」の1機。これらはキルギス空軍で唯一の固定翼機で、現在も運用されています(ただし、飛行する機会は極めて少ない)。

    キルギス空軍が2000年代初頭にロシアから受け取った4機の「L-39」練習機。一見すると再び空を飛ぶことはないでしょう。各機は左右の主翼に1基ずつハードポイントを備えており、最大で2発の爆弾か2基のロケット弾ポッドで武装可能です。

     興味深いことに、キルギス空軍の航空機やヘリコプターにはソ連空軍のラウンデルが使われ続けている一方で、国境警備隊の機体には国旗にもある黄色い太陽を組み込んだラウンデルが施されています。

     キルギス空軍のラウンデルは同国に駐留するロシア空軍の航空機やヘリコプターのものと混同されることがありますが、後者は確かに赤い星のラウンデルを使用しているものの、赤い星の外周には細い青い縁があるという違いがあります。

     キルギス陸軍は2021年(注:2022年9月17日現在)というごく最近にキルギス・タジキスタン国境紛争で戦闘を経験したにもかかわらず、キルギス空軍が一度も実戦には投入されたことがありません。

     もし、キルギスやタジキスタンが航空機やヘリコプターを投入して衝突していたとしたら、皮肉なことにタジキスタンもソ連時代からの赤い星のラウンデルを使っているので、対空部隊は味方機を誤って撃墜しないよう十分に注意しなければならなかったに違いないでしょう。


     新しい装備の導入について、キルギス軍は創設された1992年からその大部分をロシアからの好意に依存しており、2018年と2019年には、キルギスは「Mi-8」ヘリコプター4機と「P-18」対空捜索レーダー2基を無償で供与されました。[8] [9] 

     また、過去10年間には、4機の「L-39」ジェット練習機、2機の「An-26」輸送機、数十台の「BTR-70M」装甲兵員輸送車と「BRDM-2M」偵察車、小火器と弾薬もロシアから供給されています。2020年には、キルギスが「ブーク-M1」地対空ミサイルシステムの譲渡についてロシアと協議中であることが発表されました。[10]

      その他の武器や装備類の供給国には、2010年代後半に幅広い種類の小火器と装甲車両を引き渡した中国と45台にピックアップトラックや44台の「ポラリス」ATV、そして数量不明の「ナビスター・インターナショナル7000」トラックを供与したアメリカも含まれています。[11]
          
     これまでのトルコによる軍事支援として、 軍事機関(旧フルンゼ軍事大学)用の新たな施設の建築やさまざまな装備の供与、トルコの軍事施設におけるキルギス軍人への訓練などがなされてきました。[12] [13] [14]


    キルギス空軍

     長年にわたって「Mi-8」はキルギス空軍の有用な装備となっています。このヘリコプターは2018年に日本の登山家を救助する任務中に1機が墜落した後でも、依然として5機がこの空軍で運用が続けられています。[15]

     ほとんど飛行しないと思われる2機の「Mi-24V」攻撃ヘリコプターも、名目上ではキルギス空軍で強力な存在であり続けています。この代わりとして、同空軍はガンシップ型の
    「Mi-8MT(V)」を配備しています。これらの機体は主翼下に最大で6基のロケット弾ポッドか機関銃ポッドで武装可能ですが、一部の機体は機首に「PK」7.62mm軽機関銃も装備しています。

     キルギスは、これらの「Mi-8」を最大で8発の爆弾を搭載した即席の爆撃機としても運用しています。

    通常、「Mi-8」は「UB-16」または「UB-32」57mmロケット弾ポッドか「B-8」80mmロケット弾ポッドを搭載していますが、画像の機体はロケット弾ポッドに加えて機首に7.62mm軽機関銃も装備しています。

    キルギスの「Mi-8」が「P-50T」訓練用爆弾を投下する様子が公開されていますが、この事実はキルギス空軍が近いうちに「MAM」シリーズ誘導爆弾を使用できるようになって高く評価される可能性を示唆しています。

     「バイラクタルTB2」の偵察能力は国境警備隊に高く評価されると思われますが、「MAM-L」及び「MAM-C」精密誘導爆弾の導入によって対地攻撃という完全に新しい能力を発揮することが可能となるでしょう。

     TB2は、ヘリコプターから投下される爆弾とは正反対に極めて正確に目標を直撃可能な「MAM」シリーズ誘導爆弾を最大で4発搭載可能です。

     さらに、「MAM」シリーズがINS/GPSに導入されたことで、最新型の射程距離が7kmから14km以上まで伸びました。このことは、標的の位置を特定し、自らの武装か別の火力支援アセットに指示して標的を攻撃可能というメリットと相まって、TB2をキルギスで最も崇敬されるアセットに位置付けるでしょう。


    バイラクタルTB2と砲兵戦力の連携による相乗効果

     TB2が各種の信号情報や(車両などの目標に対して75km以上とされる)直距離の監視能力を誇る前方監視型赤外線(FLIR)装置で敵を探知した後、それらはキルギス陸軍の「BM-21」及び「BM-21V」122mm 多連装ロケット砲(MRL)や2S1「グヴォズジーカ」122mm自走榴弾砲(SPG)、さらに2S9「ノーナ」120mm自走迫撃砲(SPM)に加えて牽引砲によって打撃を加えることができるのです。

     これらの砲兵戦力の全てが敵の陣地や部隊の集結地点を狙うため、標的の位置を獲得するために砲兵部隊の観測班や航空偵察に依存していることは言うまでもありません。

     ただし、この国の軍隊は規模が小さいため、別の軍種との連携で生じる相乗効果の可能性は限られています(注:逆に言えば、それらの上手く活用して連携の成果を増長させる余地が残っているということを意味します)。

    キルギス陸軍の「BM-21」122mm多連装ロケット砲(手前)、2S9「ノーナ」120mm自走迫撃砲(左と中央)、そして2S1「グヴォズジーカ」122mm自走榴弾砲(中央の奥)。

     キルギスのTB2はFLIR装置に加ウェスカム製「MX-15D」や独ヘンゾルト製「アルゴス-II HDT」ではなく、アセルサン製の「CATS」を装備しています。TB2はモジュール方式を採用しているため、さまざまな種類のFLIRシステムを搭載することができます。この特徴がTB2の商業的成功にさらに貢献したのかもしれません。

     トルクメニスタンに納入されたTB2と同様に、キルギスのTB2も夜間での運用に用いる2台目の尾部カメラや機体上部の対電子妨害装置の搭載など、既存のバージョンから多くの改良が施された最新モデルとなっています。


     キルギスの「バイラクタルTB2」は、同国西部にあるジャララバード空港に新設された施設で運用されることになっているようです。同施設はTB2が納入される直前の2021年11月に建設されたことが確認されています。[16]

     キルギスを占める山岳地帯と大規模な人口集中地が存在しないため、この国の空港は全国でも僅かに数カ所しかありません。それでもTB2は、(ジャララバードから運用する場合でも)ほぼ国内全土をカバーできる十分な航続距離を持っています。

    3機のTB2の拠点である、ジャララバード空港。

    キルギスで運用中の別の無人機

     ところで、キルギスが導入した最初のUAVは「バイラクタルTB2」ではありません。2021年8月下旬、キルギスが中国から「WJ-100」無人偵察機を調達していたことが明らかにされました。[17] [18]

     「WJ-100」はFLIR装置を備えてしていますが、TB2と異なって武装できず、滞空時間も(TB2の約27時間に対して)3時間しかありません。[19] 

     キルギス軍はさらに、カント空軍基地に駐留するロシア軍でも運用されている「オルラン-10」無人偵察機を6機輸入することによって増強される予定です(注:2022年5月現在で納入は未確認)。[20] [21]

     また、キルギスは「サーラ-02」と呼称されるより小型のUCAVも独自開発しており、現在は試験段階にあります。[21]

    2021年8月に実施されたキルギス独立30周年記念の閲兵式に登場した「WJ-100」。

     一見すると、キルギスが3機の「バイラクタルTB2」を導入したことは、ウクライナやモロッコといった国々によるTB2の調達よりも華々しさが欠けているように見えるかもしれません。それでもキルギスからすれば、TB2以外にその利点を最大限に発揮してくれる輸出兵器はおそらく存在しないでしょう。
          
     キルギスが資金と専門知識の不足のために何十年もの間にわたって武装した固定翼機を運用してこなかった国であることを踏まえると、TB2が有効なパフォーマンスと信頼性、そして低い導入価格と運用コストを併せ持つ最初のアセットとなることは間違いありません。

     この記事を執筆している2021年12月の時点で、中央アジア5カ国のうち3カ国がトルコ製ドローンを運用しています。それらがUCAV市場を急速に席巻しているため、ウズベキスタンとタジキスタンの出方に注目が集まっています(注:2022年5月上旬には、カザフスタンがTAI製「アンカ」を導入することが決定されたと報じられました)。

    [1] Kyrgyzstan set to receive Turkish armed drones https://www.aa.com.tr/en/world/kyrgyzstan-set-to-receive-turkish-armed-drones/2399480
    [2] Two two military aircraft handed over to Kyrgyzstan by Russia https://akipress.com/view:704:Two_two_military_aircraft_handed_over_to_Kyrgyzstan_by_Russia/
    [3] Беспилотники «Байрактар» поступили на вооружение Пограничной службы ГКНБ https://kg.akipress.org/news:1751371
    [4] https://twitter.com/BaykarTech/status/1580173619233071105
    [5] Documenting Losses During The September 2022 Kyrgyzstan–Tajikistan Border Clash https://www.oryxspioenkop.com/2022/10/documenting-losses-during-september.html

    [6] Soviet 5th Training Center in Frunze Between 1956 and 1992 http://www.easternorbat.com/html/5th_training_center_eng.html
    [7] In controversial move, Russia set to own runway at military base in Kyrgyzstan https://central.asia-news.com/en_GB/articles/cnmi_ca/features/2020/06/18/feature-01
    [8] Russia donates two helicopters to Armed Forces of Kyrgyzstan https://24.kg/english/136240_Russia_donates_two_helicopters_to_Armed_Forces_of_Kyrgyzstan/
    [9] Sergei Shoigu: Kyrgyzstan can always count on support of Russia https://24.kg/english/116337_Sergei_Shoigu_Kyrgyzstan_can_always_count_on_support_of_Russia/
    [10] Russia and Kyrgyzstan discuss delivery of air defense systems, helicopters https://24.kg/english/153139_Russia_and_Kyrgyzstan_discuss_delivery_of_air_defense_systems_helicopters/
    [11] A Vehicles Handover Ceremony with U.S. Ambassador T.Gfoeller to Kyrgyzstan http://bishkek.usembassy.gov/2010_0825_vehicle_handover.html
    [12] Turkey to build military institute in Kyrgyzstan https://www.for.kg/news-582254-en.html
    [13] Turkey donates military equipment to Kyrgyzstan https://24.kg/english/172035_Turkey_donates_military_equipment_to_Kyrgyzstan/
    [14] From Turkey With Love: Tracking Turkish Military Donations https://www.oryxspioenkop.com/2021/12/from-turkey-with-love-tracking-turkish.html
    [15] ASN Wikibase Occurrence # 213092 https://aviation-safety.net/wikibase/213092
    [16] https://twitter.com/Gerjon_/status/1472311300822814721
    [17] Kyrgyzstan Independence Day Parade & Celebration August 31, 2021 https://youtu.be/XHUxnq3XVXw?t=2905
    [18] China-made WJ-100 Blade UAV makes debut in Kyrgyzstan https://www.china-arms.com/2021/09/china-wj-100-blade-uav-debut-kyrgyzstan/
    [19] Kyrgyzstan Orders Byratkar Drones from Turkey, Orlan-10E UAVs from Russia https://www.defenseworld.net/news/30647/Kyrgyzstan_Orders_Byratkar_Drones_from_Turkey__Orlan_10E_UAVs_from_Russia
    [20] Russia’s military base in Kyrgyzstan to procure Orlan-10 UAVs https://www.airrecognition.com/index.php/news/defense-aviation-news/2020/june/6358-russia-s-military-base-in-kyrgyzstan-to-procure-orlan-10-uavs.html
    [21] В Кыргызстане впервые выпустили беспилотник https://youtu.be/92QgvrwEcaw

      したものです。当記事は意訳などにより、僅かに本来のものと意味や言い回しを変更した
        箇所があります。


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